平成23年10月13日(木曜日)
この二日間、どういう訳か政治ネタになってしまいました。
このブログは私の日常を綴りながら、
人生について、移住と言う特異な経験について考えながら
皆さんの応援をいただきながら、成長していく過程の記録となるものだと思います。
しかし、ここ数日の世界のニュースと日本の考え方を比較すると
どうしても自分の考えを記録しておかなければ気が済まなくなりました。
と言うことで、二度あることは三度で、今日もちょっと考えを書きます。
唯我独尊の考えですから、突っ込み、賛同、批判はお願いいたします。
さて、今日のニュースですが
かねてから合意されていた韓国とアメリカのFTAが米国議会で承認されました。
日本はまだ各国とのFTAの検討に入っているだけの段階ですが、
韓国はチリから始まってすでに8カ国・地域とのFTAを行っています。
そして、アメリカが追加されます。
もちろん、韓国の農業関係団体は大反対でしたし、今もそうですが
国の政策として、
1、廃園補償と所得補償
2、競争力強化対策
3、農業の体質改善
などに相当の資金をつぎ込んできました。
しかし、日本と似たような農業形態の中で小麦などはほとんど姿を消しました。
アメリカとのFTAでは、「米」は協定から外されましたが小麦は対象品目になりました。
これは、山岳地帯の高齢農家が小麦を作っていたので、どのみち
じり貧になる品目だから協定の対象品目に入れたのでしょう。
韓国の農業は米主体で日本の農業に似ていますが、
□ 1戸あたり経営面積(ha)は
日本: 2.17 韓国:1.47
□ 専業農家率(%)は
日本: 24 韓国: 58
□ 穀物自給率(%)は
日本: 26 韓国: 27
このような数字が出ています。
韓国は日本よりも高度経済成長が短期間で起きているので、
農村から都会への若者の流出が著しく、また、農村では兼業できる環境ではないので
高齢化の専業農家が多くなってきているのが現状です。
農業の中でも小規模農家と大規模農家との間に所得格差が広がっていて
都市部でもサラリーマンの間で所得格差が拡大しているようです。
グローバル化によるこれらの格差の中で、FTAからくる経済の恩恵に
浴している企業はわずか 4%にとどまっているようです。
農業の中でも意識改革とあきらめが入り混じりながら、FTAへのチャレンジに
なっているのでしょう。
韓国の農業団体の発言で
「この国の農業政策は競争力を高めること、所得を高めることしか考えず
自給率を高めることを考えてこなかった」と言っています。
日本にも言えることではないのでしょうか?
さて、先日の私の意見に賛同してくださった方が「日本は鎖国するのか?」と
課題を投げかけられましたが、まさにその通りで
ボーダレスの経済社会の中に入り込んで、いや、けん引してきた日本が
鎖国状態になること自体自国を消滅させてしまい、若者の働く場所を減少させます。
農業の壊滅、サービス業の外国人雇用などが問題になっていて
その他にも日本人的な感覚では疑問符がつく商品や人が流入してくることに
危機感を呈している個人・団体があることは理解できます。
それでもなおかつ言いたいのは、日本人はいつも内向きに物事を見る癖が
つき過ぎていると言うことです。
農業問題にしても、海外からの食糧供給がなくなった時にどうするのかを
真剣に検討しているとは到底考えられません。
今まさに地球人口が70億人を突破していることを考えると、いつこの問題が
目前に呈されるのかわかったものではありません。
人口激増の原因は、低開発国の人口増加と死亡減少にあります。
保健衛生と医療の充実を国連等の機関が進めてきたことで、
高出産高死亡率が 高出産低死亡率に変わってきたためです。
そして、世界的な異常気象や温暖化による気候変動がもたらす
従来の穀倉地帯の壊滅が現実的なものになると、日本にはあっという間に
食糧輸出禁止と言う現実がつきつけられるでしょう。
このような課題を真剣に考えると、日本の農業をどうしていかなければならないのか?
と言う問題解決策と、今回のTPPに対する回答が出てくるように思えます。
一例として、
戦後、アメリカの輸出対象国として小麦で作られた食べ物を「美味しい」と食育され
アメリカの穀物生産に大いに利用されてきた日本ですが、
日本の文化、主食である「米」をもっと活用して「小麦粉から米粉へ」の転換を図れば、
米の生産量を増やして、穀物自給率は大幅に上がると思うのです。
もちろん、給食は全てご飯にするか、米粉を使ったものにします。
現状は私の周りでも水田を持っているが、自分では作らないと言う人がたくさんいます。
米を作るにはトラクターやコンバイン、田植え機など大型機械がたくさん必要で
それらを買い替えるよりは、水田専業農家に水田を貸して少々の米をもらう方が
楽だと言うことです。
もちろん自分で米を作ると赤字かトントンぐらいで労力がマイナスになります。
米は毎年ありあまって生産調整をして米農家を減らし、備蓄米は高くて海外に売ることもできず
安く処分している始末です。
農業団体も、TPPを反対している業界も自分たちの内側とか、今までの経緯だけを見ず
世界を見た観点からそれらの課題にどうやってチャレンジしていけば良いのかを
考えたらどうでしょう。
戦後の日本の政府・官僚におんぶにだっこしてきた体質から脱却して、
自分たちで考えて自分たちの足で歩むことを考えたらどうでしょう。
日本の消費者から支持されないものは、どんなに頑張ったって最終的には
消滅してしまいます。
日本の消費者や海外の消費者を対象にした、独自性のある商品、穀物の作り方、
販売方法などを日本人の知恵を出し合って考えて行くチャンスです。
自分からイノベーション(革新)できないのなら、この激動の時にこそイノベーションを
行うチャンスなのではないでしょうか?
私も、日本人が飢え始めるのならマンゴーの樹をぶった切って
水田に変え、ブル-ベリーの樹を掘り起こして畑にする覚悟です。